『健康で文化的な最低限度の生活』6巻コミックネタバレあらすじ

2018夏ドラマ
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こんにちはうさぎ♪です。

2018年7月からフジテレビで放送される火曜21時のドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』

同名のコミックスが原作のドラマで、主演は吉岡里穂さん。『きみが心に棲みついた』では、精神的なハンデを抱えつつ頑張って働く女子を演じて高評価でしたが、今回もハマり役になりそうな予感です。

さて今回はこのドラマの原作、6巻のネタバレあらすじを書こうと思います。

 

ちなみに5巻のネタバレあらすじはこちら。

『健康で文化的な最低限度の生活』5巻コミックネタバレあらすじ

 

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46話 ここから

赤嶺さんがアパートで倒れていることでパニックになったえみる。とりあえず係長に連絡すると、救急車を呼んで、大家さんに行って部屋を開けてもらえとアドバイスされる。

 

救急車が到着し、大家さんに「もう出て行ってくれ」と言われながらも赤嶺さんの部屋に入ると、部屋は以前と同じくひどい状況だったが、脈はある、とりあえず生きてはいた。

 

救急車に乗せられて病院に向かう道すがら半田に連絡をすると、落ち込みかけていたえみるに半田がアドバイスした。「義経さん、さっそく来ましたね。介入のチャンスが。ここからアルコールの治療につなげるんです」その言葉にはっとさせられるえみる。

 

赤嶺さんが運ばれたのは以前、赤嶺さんが暴れて、しかも勝手に退院してしまった病院だった。病院の看護師長の五十嵐も、もう赤嶺さんはうんざりという雰囲気を出していたが、えみるはひるまず、これを機会にアルコールの治療につなげたいから、よろしくお願いしますと頭を下げた。

 

えみるの熱意を感じたのか、五十嵐は精神科の先生に診断をしてもらえるように手配してくれた。

 

えみるは改めて決意した。これを機に、自助グループにつなげる、そして、断酒につなげると。

 

早速赤嶺さん、専門にの診察を受けるが、あっさりと「アルコール依存」だと診断される。だが、本人は「依存じゃない」と否定してみたり、依存だと診断されたことを忘れてしまったりと、とにかく「依存」ではないと思いたがっている。

 

退院後の方針を決めるカンファレンスの場で、医師は赤嶺に対して、次やったら命はありませんとくぎを刺す。それでも「やめればいいんでしょ」と軽く答える赤嶺に対して「あなたは払っていないからわからないかも知れませんが、今回のことでいくらかかっているかわかっていますか?軽く100万円は超えていますよ」きつく言う医師。

 

険しい表情になる赤嶺。となりでひやひやしながら見守りつつも、アルコール依存は治る病気だから、とりあえずここはプロに任せましょうというえみるに対して、えみるの頼みならば仕方がない、次はどうすればいいの?と前向きになってくれた。

 

断酒に対する第一歩が踏み出せた赤嶺だった。

 

そしてそんなときに、赤嶺の「兄」と名乗るものが病院にやってきた。

 

 

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47話 兄弟

赤嶺さんの兄は、弟が迷惑をかけたとしきりに恐縮していたが、弟と二人きりになってから、母親が死んだこと、母親がずっと心配していたことなどを赤嶺に話した。

 

地元に帰るためのお金も赤嶺に振り込んでいた兄だったが、それもお酒に変えてしまっていた赤嶺。それまでも、赤嶺の元奥さんからお金のことで何度も相談を受けていたこと、親の葬儀にも出席しなかったことなど、最終的には弟を激しく攻め立てた兄だった。

 

聞く耳を持たない弟に対して「クズが」と吐き捨て、勝手にしろとその場を立ち去ってしまった。去り際、ずっと介護をしていた母親の最後の言葉が、介護をしていた自分でなくて、弟の名前だったと悔しそうに言って、帰っていった。

 

立ち去る兄に対してえみるは、赤嶺さんはようやくアルコール依存の診断が出たから、これから治療に向けて進んでいくことができるようになったと報告するのだが、兄に「無駄だから、適当に放り出してください」と言われてしまった。

 

「赤嶺さんがお酒を飲んでしまうのは、病気が原因ですから」と、険しい顔で黙っている赤嶺に語り掛けるえみる。人は変れるのか、病気が回復すれば、本人が決意すれば、心を入れ替えれば、そんなことを思うえみるだった。
赤嶺さんが退院して、アルコール依存治療の専門の病院に転院になることになった。

 

赤嶺のごみ溜めのようなアパートから、着替えなどを取ってこなくてはならなかったので、同僚の七条と一緒に取ってきたえみる。移る先の病院にも七條は同行していたが、七條は明らかに赤嶺のことを見下している態度だった。

 

アルコール依存の専門の病院に転院できて、明るい気持ちになっていたえみるだったが、当の赤嶺さんは「えみるに言われてきただけだし・・・」ととぼけた顔で、まったく自覚がないように見えたのだった。

 

「あんな奴のために、こんなにお金かける意味あんのかな」七條は赤嶺に対していい感情を抱いていなかった。えみるも、なんだか他人事みたいな赤嶺に対してイライラを感じていたが、何はともあれひと段落ということで、ちょっとだけ安心したのだった。

 

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48話 否認の病

年度末、ケースワーカーは年に一回、各自担当する全ケースについて、今後の目標やプロセスを具体的に検討し、「援助方針」としてまとめなければならない。

 

そしてやはり、全然終わっていないえみるは休日出勤をするのだが、いざ出勤してみると係全員がそろっていた。

 

とりあえず援助方針はまとまり、なんとか間に合った。赤嶺さんのことについてもよくやっているとほめられたが、それを聞いていた七條「いかにもやる気のない感じでしたけどね、アイツ」と水を差した。半田は「アイツ」呼ばわりする七条をたしなめた。

 

ただ、えみるも七條がそう言いたくなる気持ちもわからなくもなかった。赤嶺に全く自覚がない様子だったのは事実だったからだ。

 

そんなことを考えていると、急に肩をつつかれる。以前監査の時に担当になった山内さんが来ていた。赤嶺さんに関して、いろいろと話を聞きたがっていた。
まったくやる気の感じられない赤嶺さんにことを打ち明けると、山内さん、「最初はそんなもんでしょう」と意外なことを言う。

 

山内さん曰く、アルコール依存は「否認の病」だという。

 

「自分にアルコールの問題はない」が第一の否認、そして第二の否認が「自分はアルコール以外に問題はない」

 

赤嶺さんはどっちにも問題はありありなのだが、山内さんは言う。そういう病気なんだと。

 

そして言った、病院を出たら、80%以上の確率で再飲酒するだろうと・・。それを聞いてショックをうけるえみるに対して、山内さんは自分の過去を語り始めた。

 

山内さんもかつてはアルコール依存の人を担当したことがあった。当時若かった山内さんは、時に激しく叱咤したり、やめると誓約書を書かせたり、自助グループに無理やり連れて行ったりとしたのだが、結局、アパートのトイレで死んでしまったのだという。

 

いったんは、仕方なかった、これでたまった仕事が片付けられると思ったが、時は経って、あの時の自分は「どうすればお酒をやめさせることができるのか」が全然わかっていなかったのだと思うと告げた。その人のことは、今でも夢に見るという。

 

アルコール依存の患者の平均死亡年齢は52~54歳。つまり、飲んで死ぬか、飲まずに生きるかの、シンプルな2択。

 

そして飲まずに生きるためには、到底一人では無理で、人とつながり続ける必要がある。

 

ただ、赤嶺さんは、周りの人に多大な迷惑をかけてしまっている。人とつながるといっても難しい状況だと言うえみるに対して、そんな人に対しても「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するのが、我々の仕事だと山内さんは言った。

 

このケースで山内さんは繰り返す、アルコール依存を最後まで「病気」として見られるか、そのあたりが我々に試されていると。
帰り道、以前アルコール依存の互助会に一緒に出席した後藤と話す。実は互助会にいた断酒歴14年の武井さんは、子宮がんを患っているらしい。本人は仲間のために頑張ると言っているらしいが、いつまで持つかはわからない。

 

えみるは帰りに本屋に寄り、アルコール依存に関する書籍を買いあさった。「自分はまだ何も知らない。もっともっと、もっと、知識が必要なんだ・・」と。

 

 

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49話 日々の暮らし

年度替わり、そして「異動の季節」がやってくる。

 

同じ職場ではたらく小島さんが、地域振興課へ移動になることになった。湧き上がる喜びを隠しきれない様子だった。周りは明らかに「いいなあ」とうらやましく感じていた。

 

当然、えみるもまだこの職場での勤務が続く。先日山内に言われた「人の暮らしを守る、命をまもる、その第一線で仕事をしているということに、誇りを持ってください」という言葉を思い出していた。

 

この仕事について丸一年経つが、そんな実感は、自分には程遠いと感じていた。

 

以前、アルバイトをして「不正受給」となってしまった日下部家、今でも月3万円の返済は続いている。そのうち1万円は欣也君のアルバイト代だった。

 

4月から高校3年生である欣也くんに対して、進路はどうするのかと聞くえみる。本人は就職するしかないと思っていたみたいだったが、きちんと進学する方法はあることを欣也に教えたのだった。

 

そんな、忙しく働くある日、えみるは借金の過払い金があることがわかり、返済が完了した阿久沢さんが働いているところを見かけた。

 

そして、あたらしく事務所に配属されてきた、新規採用の鹿間まなみが入ってきた。えみるにも、初めての後輩ができたのだった。

 

義経えみる、ケースワーカー2年目のスタートだった。

 

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50話 帰れる家にしよう

新人の鹿間が入り、えみるは先輩らしいところを見せないとと内心焦っていた、急に生活保護手帳を取り出し、勉強を始めるのだった。

 

アルコール依存症の専門病院で治療を受ける赤嶺さんだったが、入院しているほかの患者からは「一度で退院できた人間はいない」「外出した時ビール2本くらいならバレない」「自助会行ってもつまらない」と後ろ向きな情報ばかりが聞かされていた。

 

そんな中、赤嶺さんの退院後の住む場所についての話に。今まで住んでいた場所は住める状態にないので「チーム赤嶺」と名付けられた赤嶺さんの自宅お掃除隊が結成された。

 

赤嶺さん自身ももちろん掃除に加わり、どんどん片付いていく部屋。近所からクレームが来ていると怒っていた大家さんも、差し入れをしてくれたりと、一日がかりで掃除をした結果、見事に赤嶺さんが退院後に「帰れる家」になったアパートだった。

 

片付いた部屋を見た赤嶺さん、えみるに対して

 

「義経さん、オレがんばりますよ。この部屋に戻ってきたらきっちり働いて・・。この部屋見てたら、いろいろ取り戻せるような気がして。実はおれ、根性だけはあるんで。」

 

そういって、赤嶺は、掃除をしてくれた全員にたいして頭を下げ、「今日は本当にありがとうございました。退院後は以前の生活に戻らないよう、酒は立って、心を入れ替えて、しっかりやり直したいと思います」そう宣言したのだった。

 

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51話 働く男

赤嶺は、えみるに対し、目標ができた。酒をやめて根性入れて働いて、そしていつか娘に会いたいと・・・。

 

新人の鹿間は、赤嶺の改心ぶりに感動していた。以前酒を飲んで荒れていた人が「心を入れ替えて頑張る」と言っていることが、信じられない様子だった。

 

ただ、掃除に参加したソーシャルワーカーさんと看護師さんは「大変なのはこれからですけどね」と言う。ただ、ケースワーカーの励ましは大きいですけどねとも言っていた。そして「とにかく施設ぶち込んどきゃいいや」っていうワーカーさんも多いとも言っていた・・。

 

ともあれ、あっという間に日々は過ぎて、赤嶺さんの退院の日がやってきた。

 

まずは、アルコール依存症の自助グループを案内しようとしたえみるだったのだが、赤嶺さん「自助グループって行かなきゃダメっすかね」と言ってくる。時間を無駄にしたくないし、要するに酒を飲まなければいいだけなら大丈夫。生活保護を受けずに働くって言ってるんだから、それを邪魔してどうするんですかと主張してくる。

 

とりあえずえみる、今日は行くって約束をしているから行こうと赤嶺を説得して、施設に。

 

施設に行って説明されている間も、ずっと赤嶺は面倒くさそうだった。まずは「自分がアルコールに対して無力であると認める」というところから始める施設の考えたかにうんざりしている様子だった。

 

施設の人から「酒をやめたい気持ちはある?」と聞かれた赤嶺。今はそんなに飲みたいとも思わないし、どっちかというと早く働きたいという彼に対して「そういう人ほどまた100%飲んじゃうんだよ。ブレーキ壊れた車に無理に乗ろうとするのと一緒」と言われてしまう。

 

ちょっとむっとした赤嶺は、じゃあ自助グループって意味あるんですか、そもそも何の役に立つのかわからないと反論するが、施設のスタッフ「じゃ、その意味が分かるようになるまで通ってみてください」と笑顔で返した。

 

とりあえず見学してってと促すスタッフさんだったが、赤嶺はまだ全く納得していない表情だった。

 

仕事の帰り道、そのことを同僚と話すと、本人が働くと言ってるからいいじゃんと、いつものように突き放すような意見の七條。それに対し、医師がしばらくやめたほうがいいと言ってるんだからやめたほうがいいと思うと後藤。ただ、本人の意思も尊重すべきっていう視点もあると桃浜。えみるは、どうしたらいいもんかと悩んでいた。

 

数日後、結局居酒屋で働き始めてしまう赤嶺の姿があったのだった。

 

 

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52話 よりによって

自助会にはきちんと参加している赤嶺だったが、よりによって居酒屋で働き始めてしまう。

 

心配だったえみるだったが、本人に働く意思が強く、それで頑張ろうとしているので、全力で反対することもできなかった。自助グループに通っているということで、とりあえず現状のまま見守ることになった。

 

最初のうちは元気よく働いているのだったが、居酒屋ではまだ新人の立場。自分より若い従業員に軽く扱われ、こき使われることに対してだんだんとストレスを感じ始める赤嶺だった。

 

先輩の半田は、きちんと通院はできているのかとえみるに聞く。仕事のストレスが飲酒欲求につながることもあるから、病院に行った時に相談してみたほうがいいとアドバイスをしてくれた。

 

そんなある日、えみるは近所で行われている花火大会に遊びに出かけていたが、赤嶺さんのことが気になっていたのだった。

 

 

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53話 真夏日

福祉課でいつものように働くえみるの元に、赤嶺さんがミーティングに来ていないと連絡がある。

 

二日続けて欠席して、今日で3日目だった。出来たら様子を見てきてほしいと言われたのでさっそく赤嶺さんの自宅に。部屋にはカギがかかっていたが、ポストの隙間から覗いても留守だった。そしてえみる、そこにお酒の空き瓶らしきものを見つけてしまった。

 

とりあえず、そのほかのこともあるので、福祉事務所に来てほしいというメモを残してい去るも、赤嶺さんは事務所に来なかった。再び自宅に訪問しても不在だった。電気や水道のメーターを確認すると、どうやら家にも帰っていないみたいだった。

 

「失踪したんじゃないの」バイトの給料が入り、保護費も入って急にまとまったお金が手に入ったことで失踪してしまうケースは、残念ながら少なくないという話だった。

 

この状態がしばらく続くようだったら、失踪廃止。生活保護の廃止をせざるを得ないと係長から言われてしまうのだった。

 

大家さんに言って、部屋のカギを開けてもらった。死んでもらってても困るからと警察も一緒に来てもらっていた。中に入ると、赤嶺さんやはり飲酒を再開していたようだった。そして1週間以上も家に帰っていないことも分かった。

 

えみるはショックだった。あれだけ多くの人に世話になって、娘に会いたいから頑張ると言っていた赤嶺さんが信じられなかった。

 

えみるが、考え事を新柄川沿いを自転車で帰る道すがら、釣りをする男性を見かけた。赤嶺さんだった。

 

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54話 雷注意報

河原で釣りをしている赤嶺さんを見つけたえみるは声をかけるが、驚いた赤嶺さん、荷物を抱えて逃げだし、あわてて川に飛び込んでしまう。

 

「なんで逃げるんですか!」と後を追うえみるにたいして「何の用スか!?もう関係ないですよね、生活保護切れてるし、約束破ったし」

 

生活保護は切れていない、そのことを言おうとすると赤嶺さん、再び逃げ出そうとする。

 

「誰がそんなこと言ったんですか?まだ切れてませんよ生活保護!」えみるも頭にきているのか、すごい剣幕でまくしたてる。それを聞いた赤嶺さん、今さらどんな顔で施設の人に会えばいいんだと言いだす。

 

えみるは食い下がる、逃げるほうがあり得ない。今までたくさんの人に協力してもらって、力になってもらっているのに、それを全部なげうって逃げるなんてありえないと。

 

それを聞いた赤嶺さんは、それでも逃げようとしながら言う。「だから、そういうダメな人間ってことでしょ?どうせ義経さんも俺のことどうしようもないクズだと思ってるんでしょ?義経さんだって本音では、俺なんて生きてたって・・・」

 

言葉を切る赤嶺さん、えみるが泣きながら腕をつかんでいた。一瞬赤嶺さんの脳裏に、泣いてこちらを見る元妻の顔が浮かんだ。

 

「離してくださいよ、そうやって泣けば思い通りになると思って・・」そこまで言うと、えみる、じゃあ勝手にすればいいじゃないですかと手を離し、川から出た。

 

「もう、いいから、とりあえず福祉事務所行きませんか・・・」えみるが言うと、赤嶺さんは仕方なしについてきたのだった。

 

赤嶺さんと、えみるが福祉事務所に着く。びしょ濡れの二人を見て周りは驚いていたのだった。

 

先輩の半田さんに赤嶺さんのことを相談するえみる。これから続けるにせよやめるにせよ、とりあえず施設にあいさつに行っておいたほうがいいとアドバイスを受けた。赤嶺さんはもと野球部のエースだった。そういうところはきっちりしているんじゃないかと。

 

さっそく施設に謝りに行った。えみると赤嶺さんだったが、施設の男性「あ、飲んじゃった?」と笑顔で迎え入れてくれた。

 

 

 

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55話 自助グループ

施設の男性は赤嶺さんに話を聞く。いつ飲んだのか、これからどうするかを聞いたが、答えに困る赤嶺。男性は言った「とりあえず今日一日酒やめること考えてさ、明日のことはまた明日かんがえりゃいいじゃん」

 

えみるは感心していた。

 

この施設の男性も、以前アルコール依存症だった。さすがわかっている人は違うなと。と同時に、今の自分の言葉は、赤嶺さんには届いていないことも感じた。

 

「アルコール依存症は”否認の病”と言われたことを思い出したえみる。第1は「自分にはアルコールの問題はない」第2は「自分には、アルコール以外の問題はない」赤嶺さんの行動を見て初めて、その言葉の意味を理解したえみるだった。

 

施設の人は続ける、人はもともと一人では生きられない。だけど辛いときにアルコールで自分を満たしてきた人は、何かあった時に、アルコールに助けを求めてしまう体になっている。ただアルコールを我慢すればいいという問題ではなくて、アルコールでなく、人に助けを求められる人間に変わらなくてはならない。

 

そのために必要なのが、自助グループなんだと説明してくれた。同じ仲間と一緒にやめるのが、結局一番楽で、一人の力でなんとかなると思っている人が、再飲酒すると言った。

 

「酒に対しては無力」えみるがはじめて自助グループに参加した際に案内してくれた武井さんの言葉を思い出すえみる。赤嶺さんは、まだ就労できる状態ではなかった、そして私自身も、赤嶺さんが相談できる相手ではなかったと気づいた。

 

「またやり直せばいいよ、まだ命があるんだから」

 

施設の男性のその言葉を聞きながら、静かに涙する赤嶺さんだった。

 

帰り道、一人赤嶺さんがこれで変わってくれるんだろうか、そんなに甘くないかも、そんな風に感じていた。

 

アルコール依存症は、もともと治らない病気だと考えられていた。ところが1935年、酒でボロボロになっていたビルとボブというアルコール依存の二人が出会い、二人でお酒の話をしている時だけは、酒への渇望から解放されることに気づいた。

 

二人はほかのアルコール依存の患者を訪ねたが、その患者も断酒生活を始めることがきた。これが今日の「AA(アルコホーリクス・アノニマス)の原型となり、様々な形の自助グループが世界中に広がることになる。

 

回復不能と思われた人間が、自分の無力を認め、人とつながることで回復していく、依存症って不思議な病気だなと感じるえみるだった。

 

 

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56話 これから

赤嶺は夢を見ていた。また一緒に住めるようになった娘に起こされる。そして元妻も一緒に住んでいる。しかし顔がよく見えない。「あんた、またお酒飲んだでしょ」飲んでないよと返す赤嶺。だが、振り返った元妻の顔には、殴られた痕があった。

 

目が覚めた赤嶺は、顔を洗うと、いつものように施設に出向いた。

 

「は?金がきつい?」忙しくはたらくえみるの元に、赤嶺さんから連絡があった。どうやらお金が足りないらしい。お金を使ってしまったのは赤嶺さんだと突き放した後、きちんと施設に通っているかと聞くと、きちんと通っているらしい。

 

本当に変わってくれるのかを不安がるえみるに対して、面接員の沢尻さん「人はそんなに簡単に変わらない、変わるときは本人が変わる気になってから。ケースワーカーのできることなんて、寄り添うくらいのものだ」と言われるが、半田はほめてくれた。えみるがきちんと専門家の助けを借りたこと、そして助ける側もチームになったことがよかったと言ってくれたのだった。

 

赤嶺さんのことに関して、一緒に自助グループに行ってくれた後藤にお礼を言うえみるだったが、後藤から、自助グループの武井さん、子宮がんが転移して入院しているという話を聞いた。

 

早速お見舞いに行くえみると後藤。武井さんは、飲んだくれて死ななかっただけマシだとうそぶいていた。そして赤嶺さんのことをえみるに聞いてきた。

 

一応専門医の治療を受けて、今自助グループに通っていると言うと「アンタ、よくがんばったね」と素直にほめてくれるのだった。「その人も、生きるチャンスをもらったね」笑顔でそう言う、武井さんだった。

 

アルコール依存の体験談を発表し合うイベントに参加していたえみるは思った。

 

この仕事について、初めて病人の世界があることを知った。そしてお互い助け合いながら、励ましあいながら、なんとか生きていこうという人たちがいる。

 

それまでの生き方を変え、どうにもならない自分を抱えながら、それでも生きていこうとする人たちがいる。その方法論が、この自助グループにはある。

 

赤嶺さんはお酒をやめられるだろうか、それは誰にもわからない。それでも回復を信じて寄り添う。それが私たちの仕事である。

 

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『健康で文化的な最低限度の生活』6巻を読んだ感想。

赤嶺さんがようやく落ち着きを取り戻したというか、人生で初めてに近いくらい安定した生活がはじまろうとしていましたね。

正直、「依存症」というものとは縁の遠くない筆者なので、アルコール依存の恐ろしさを身近に感じてしまうのですが、本当に依存状態になってしまうと、その依存対象に対して完全に「無力」になってしまうんですよね。

自分の場合はまだいろいろと軽度だったのでいいですが、アルコール依存は、治る「病気」だということを、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。

 

 

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まとめ

matome

今回は『健康で文化的な最低限度の生活』6巻のネタバレあらすじをまとめてみました。

原作はまだまだ続きますが、この先どんな風なケースが出てくるのか、楽しみというよりは、ハラハラですね。

 

というわけで今回はここまで。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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